スライムパンク防止剤と消費者契約法

スライムパンク防止剤と消費者契約法といわれても、「?」の方が殆どだと思います。私もつい先日まで「そんなの関係が有るの?」と思っていた一人です。

パンク防止剤の注入も契約です

LSC綜合法律事務所サイトの解説です。

契約というと,何か大きな取引をイメージされるかもしれませんが,小さな日常的な取引,たとえば,スーパーマーケットで食料品を買うというような行為でも,売買という契約に当たります。

したがって,大きな取引ばかりではなく,日常的な行為においても,実は契約が成立し,それによる拘束力が発生しているのです。

その意味でいうと,契約とは,一般的にいう「合意」に近いものと考えた方がよいでしょう。

スライムパンク防止剤の自転車への注入もあなたとサイクルベースあさひさんとの契約になります。

消費者契約法の目的

第一条 この法律は、消費者と事業者との間の情報の質及び量並びに交渉力の格差に鑑み、事業者の一定の行為により消費者が誤認し、又は困惑した場合等について契約の申込み又はその承諾の意思表示を取り消すことができることとするとともに、事業者の損害賠償の責任を免除する条項その他の消費者の利益を不当に害することとなる条項の全部又は一部を無効とするほか、消費者の被害の発生又は拡大を防止するため適格消費者団体が事業者等に対し差止請求をすることができることとすることにより、消費者の利益の擁護を図り、もって国民生活の安定向上と国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

「商品の説明をちゃんとしてくれなかったから、いい商品だと思って買ったけれど、間違った説明でその気になって買ったんだから、返品する」ことができるとと書いてあります。

スライムパンク防止剤の購入の取り消しについて

不利益事実の不告知

2 消費者は、事業者が消費者契約の締結について勧誘をするに際し、当該消費者に対してある重要事項又は当該重要事項に関連する事項について当該消費者の利益となる旨を告げ、かつ、当該重要事項について当該消費者の不利益となる事実(当該告知により当該事実が存在しないと消費者が通常考えるべきものに限る。)を故意又は重大な過失によって告げなかったことにより、当該事実が存在しないとの誤認をし、それによって当該消費者契約の申込み又はその承諾の意思表示をしたときは、これを取り消すことができる。
ただし、当該事業者が当該消費者に対し当該事実を告げようとしたにもかかわらず、当該消費者がこれを拒んだときは、この限りでない。

重要事項についても規定されており
5 第一項第一号及び第二項の「重要事項」とは、消費者契約に係る次に掲げる事項(同項の場合にあっては、第三号に掲げるものを除く。)をいう。
一 物品、権利、役務その他の当該消費者契約の目的となるものの質、用途その他の内容であって、消費者の当該消費者契約を締結するか否かについての判断に通常影響を及ぼすべきもの
以下略

法律の専門家ではありませんので、正しいかどうかは分かりません、取り敢えず以下の4点で考察します。

スライムパンク防止剤が防げるパンクの割合

一般的なパンクの中でのスライムパンク防止剤で防げる異物パンクの割合は20%以下です。

 寿サイクルジャーナル flat tireより転載  ブリヂストンサイクルの調査  当店集計

ブリヂストンサイクルの調査では空気圧不足によるパンクの割合が74%です。(

「2.8mmまでの異物パンクが防げます」としそれ以外の防げないパンクの紹介が有りますが、防げるパンクの割合について書かれた部分は有りません。
パンク防止剤なのに8割のパンクが防げないなら、購入判断に影響がありそうです。

一般の人が考えるパンクの原因は異物かイタズラです。(根拠となるデータは有りません。時折お客様からそういわれます)
そのように考えるお客様にとっては、空気を入れるだけで、74%のパンクが防げるなら、パンク防止剤は必要ないという判断もありそうです。
「空気を入れるだけで、そんなにパンクが防げるとは知らなかった。空気を入れるだけでパンクが防げると教えてくれればパンク防止剤は購入しなかった。」との主張は有効なのでしょうか?

サイクルベースあさひさんのスライム紹介ページには注意事項として
「※十分な効果を発揮させるために、通常のタイヤと同様に定期的な空気圧チェックをお願いします。」
との記載が有ります。(https://ec.cb-asahi.co.jp/catalog/products/dac7db320b3d4f3eb7cd5315cdf5a753 から借用)

パンクの修理をしてくれない自転車屋さんが多い

当店は、スライムパンク防止剤が世の中に存在する時代に開業しました。
そのため、スライムパンク防止剤が入っているチューブも何とかパンク修理したいと試行錯誤し、パンク修理させて頂いています。

多くの自転車屋さんでは、確立されたパンク修理法がそれぞれのお店にあります。
スライムパンク防止剤が販売される以前に修理法を確立されているので、スライムパンク防止剤はチューブに入った異物でしかありません。
異物のために確立した修理法を変えるのは、リスクを伴いますから、今までの方法で対処できない異物が入っていれば、修理できないと言われるのは当然のことだと思います。

チューブ内に異物を入れたのは、サイクルベースあさひさんですから、パンク修理できなくなった責任もサイクルベースあさひさんが負うべきだと思うのですが、間違っているでしょうか?

「町の自転車屋さんではスライムパンク防止剤入りのチューブはパッチ貼り不能といってチューブを交換されるケースが有りますが、当店ではスライム入りでもちゃんとパッチ修理します。」

とお伝えするべきだと思いますし、

「パンクしたら、チューブ交換になるとは教えてもらえなかった。チューブ交換で高い修理費が掛かるなら、パンク防止剤は購入しなかった。」との主張は有効なのでしょうか?

サイクルベースあさひさんのスライム紹介ページには
「スライムで対応できないパンクの場合は、水洗いを行い、水分を拭き取ることで、通常通りのパンク修理が可能です。 」
との記載が有ります。(https://ec.cb-asahi.co.jp/catalog/products/dac7db320b3d4f3eb7cd5315cdf5a753 から借用)

有効期限は2年間です

バイク用品を扱っている南海部品のスライムパンク防止剤販売サイトでは、2年間の有効期限が見ずらいですが明示されています。

「スライムパンク防止剤は固まらないため、継続して複数のパンク穴を塞ぎます。」
との記載が有ります。(https://ec.cb-asahi.co.jp/catalog/products/dac7db320b3d4f3eb7cd5315cdf5a753 から借用)
製品の性能は永久的に継続するのでしょうか?

 スライムパンク防止剤製造元のオリジナルサイトでは、two years of continuous flat tire protection. と2年間の性能保証が謳われています

2年間のパンク防止のために¥1,480(税込)の費用を支払ったのでしょうか?ずっとパンクを防止してくれると思って費用を払ったのでしょうか?

「効果が2年間しかないとは思わなかった。入れたらずっと使えると思ったのに二年毎に入れ替えが必要なら、パンク防止剤は購入しなかった。」との主張は有効なのでしょうか?

実際には、チューブからスライムパンク防止剤を抜くのは大変な作業で、チューブも新しくする必要が有ります。

ずっと入れておくと、バルブの腐食を発生する

左のアニメーションに見られるように、スライムパンク防止剤はバルブの金属を腐食し、パンクや空気が入れられないなどの不具合を引き起こします。

チューブの中に異物を入れるのですから、何らかの副作用はあって当然かもしれません。

このような性状は、販売時には教えて欲しいですが、問い合わせで頂いた回答
「弊社で実施する点検の際、虫ゴムや バルブコアに異常が確認できましたら、虫とコアをセットで無料交換して おります。」
から問題ありませんというものでした。

財産に損害を与えているとも言えるのですが、「不利益事実の不告知」では、損害を与えたことでの契約解除は出来ません。

「チューブ内の金属に悪影響があるとは聞いていなかった。このような自転車に悪影響のある商品なら購入しなかった。」との主張は有効なのでしょうか?

「非毒性で無害なため、環境にも悪影響を与えません。」
との記載が有ります。(https://ec.cb-asahi.co.jp/catalog/products/dac7db320b3d4f3eb7cd5315cdf5a753 から借用)


こんな風に論理を組み立ててみると、事実として立証しやすいのは、2年間の性能保証や、金属を腐食する性質ですが、被害を感じる方が多いのは、入れたのにパンクしたや、パンク修理してもらえなかったの方なのでしょうね。
何とか理屈は付けましたが、実際にこの理屈が通用するのかは争ってみないと分かりません。

でも面倒でしょ

ここまで読んでくださった方は、スライムパンク防止剤で嫌な思いをされたことがあるのかもしれません。
でも金額も僅かだし、いろいろ面倒だしと無理やり忘れられたのかもしれません。

消費者契約法の第一条には

消費者の被害の発生又は拡大を防止するため適格消費者団体が事業者等に対し差止請求をすることができることとすること

の規定が有り、消費者団体に提訴することで、このような売り方をやめさせることができるかもしれません。

おかしいと思ったことは声をあげましょう。あなたの声が次に嫌な思いをする人を助けることになります。

まずは各地の消費生活センターにご相談ください。消費者ホットライン「188」番で身近な消費生活センターや相談窓口を案内してくれます。