電子メール公開の可否?

法律の専門家ではありません。
サイクルベースあさひさんにスライム(パンク防止・修理剤)の問い合わせをした際の「サイクルベースあさひ お客様相談室」からの回答を公開したくて調べたことの覚書ページです。

公開の制限

頂いたメールには『弊社の許可なく回答の内容の一部または全部を転用・二次使用し、開示することは、かたくお断りします。 』との記載があります。

調べたいこと

この記載が、法的に有効で公開することで何か罪に問われる可能性が有るのか、どうもはっきりしないからです。
『転用・二次使用』の文言が有ることから、著作物を意識した記載のようですが、根拠となる法律が明記されていないので、著作権法以外で関連する法律が有るのかもしれません。

著作物なの?

手紙を著作物ととした判例が3件、メールを著作物とした判例が1件ありましたが、すべて個人間の私信についてでした。
法人から個人へのメールについての判例を検討したサイトは見つからず、結論としては裁判を起こして判断を待つしかないようです。
調べた内容の詳細はメールは著作物?に纏めました。
著作物ではない雑報に当たるのかもしれませんが、判例はないため、なんとも言えません。
リスクを回避するために、メールは著作物の前提で、それでも公開する手段がないか、調べます。

著作者は

    第二節 著作者

(著作者の推定)
第十四条 著作物の原作品に、又は著作物の公衆への提供若しくは提示の際に、その氏名若しくは名称(以下「実名」という。)又はその雅号、筆名、略称その他実名に代えて用いられるもの(以下「変名」という。)として周知のものが著作者名として通常の方法により表示されている者は、その著作物の著作者と推定する。
(職務上作成する著作物の著作者)
第十五条 法人その他使用者(以下この条において「法人等」という。)の発意に基づきその法人等の業務に従事する者が職務上作成する著作物(プログラムの著作物を除く。)で、その法人等が自己の著作の名義の下に公表するものの著作者は、その作成の時における契約、勤務規則その他に別段の定めがない限り、その法人等とする。

サイクルベースあさひさんの社内規定は窺がうことが出来ませんが、その他の要件は満足していること。一般的な会社の内部規定を考えると、サイクルベースあさひさんが著作権者になりそうです。

こちらから送った問い合わせも、サイクルベースあさひ宛ての私信として扱わないと、あさひさん内部で共有することが著作権法違反の可能性が出てきますから、お客様相談室の担当者とのメールではなく、サイクルベースあさひさんとのやり取りだとして間違いはなさそうです。

著作物として守られる権利

著作物だとしても、法人の著作物ですから、法人として守られる権利を調べれば良いようです。

著作者人格権

公表権
第十八条 著作者は、その著作物でまだ公表されていないもの(その同意を得ないで公表された著作物を含む。以下この条において同じ。)を公衆に提供し、又は提示する権利を有する。当該著作物を原著作物とする二次的著作物についても、同様とする。
氏名表示権
第十九条 著作者は、その著作物の原作品に、又はその著作物の公衆への提供若しくは提示に際し、その実名若しくは変名を著作者名として表示し、又は著作者名を表示しないこととする権利を有する。その著作物を原著作物とする二次的著作物の公衆への提供又は提示に際しての原著作物の著作者名の表示についても、同様とする。
同一性保持権
第二十条 著作者は、その著作物及びその題号の同一性を保持する権利を有し、その意に反してこれらの変更、切除その他の改変を受けないものとする。

著作権

複製権
第二十一条 著作者は、その著作物を複製する権利を専有する。

上演権及び演奏権
第二十二条 著作者は、その著作物を、公衆に直接見せ又は聞かせることを目的として(以下「公に」という。)上演し、又は演奏する権利を専有する。

上映権
第二十二条の二 作者は、その著作物を公に上映する権利を専有する。

公衆送信権
第二十三条 著作者は、その著作物について、公衆送信(自動公衆送信の場合にあつては、送信可能化を含む。)を行う権利を専有する。

口述権
第二十四条 著作者は、その言語の著作物を公に口述する権利を専有する。

展示権
第二十五条 著作者は、その美術の著作物又はまだ発行されていない写真の著作物をこれらの原作品により公に展示する権利を専有する。

頒布権
第二十六条 著作者は、その映画の著作物をその複製物により頒布する権利を専有する。

譲渡権
第二十六条の二 著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。以下この条において同じ。)をその原作品又は複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。以下この条において同じ。)の譲渡により公衆に提供する権利を専有する。

貸与権
第二十六条の三 著作者は、その著作物(映画の著作物を除く。)をその複製物(映画の著作物において複製されている著作物にあつては、当該映画の著作物の複製物を除く。)の貸与により公衆に提供する権利を専有する。

翻訳権、翻案権等
第二十七条 著作者は、その著作物を翻訳し、編曲し、若しくは変形し、又は脚色し、映画化し、その他翻案する権利を専有する。

二次的著作物の利用に関する原著作者の権利
第二十八条 二次的著作物の原著作物の著作者は、当該二次的著作物の利用に関し、この款に規定する権利で当該二次的著作物の著作者が有するものと同一の種類の権利を専有する。

法人故に付与される権利や制限される権利はなさそうです。
お客様窓口からの回答(全文掲載)について考える時、考慮すべき権利は公開権のみのようです。

著作権の制限

代表的なのはこんなところでしょうか

引用
第三十二条 公表された著作物は、引用して利用することができる。この場合において、その引用は、公正な慣行に合致するものであり、かつ、報道、批評、研究その他の引用の目的上正当な範囲内で行なわれるものでなければならない。

今回の回答メールは公開されていないので、引用は出来ません。

著作者人格権との関係
第五十条 この款の規定は、著作者人格権に影響を及ぼすものと解釈してはならない。

著作権法からの公開の可否判断

企業のお客様相談室からの回答については、著作権法第十条の2の条文の雑報に当たるとも解釈できそうですが判例がないため、判断が付かないのが実情です。
安全のために著作物だと考えると、著作権法上には、公開を可能とする条文は見つけられず、許可なく公開は出来ないと考えておくのが正解だと思います。
プライバシイ保護の観点から、個人の手紙やメールなども著作物として権利を守ろうとする考え方が有るような気がしてきました。

泣き寝入りしかないの?

諦めかけていたのですが、正当な告発であれば、違反を免責されるという判例の法理が有ることを知りました。
「真実で」「公共性が有り」「公益目的で」「手段が相当である」4要件を満たしていれば、違法性はなくなるそうです。

2017年6月30日の朝日新聞の耕論の記事のコピーです。
転載の許可を下さいました光前幸一様に感謝申し上げます。
朝日新聞承諾書番号「A17-1049」朝日新聞社に無断で転載することは禁止されています。


免責の根拠はこちらに詳しく述べられています。

(3)権利保護の程度
これらの法人や団体の名誉毀損が成立するためには、表現の自由との調整の
ために確立している違法性阻却判断をクリアしなければならない。最高裁は、
事実の摘示による名誉毀損の場合、最判昭和41・6・23民集20-5-118以来、刑
法230条の2の規定を参照しつつ、公共の利害に関する事実に係り、専ら公益
を図る目的に出た場合において、摘示された事実が真実であることが立証され
た場合または真実であると信じるに相当の理由があると認められる場合に免責
を認めてきた26)
。この違法性阻却事由の具体的判断の際に、法人や団体の種類
(医療法人や政党、マスコミ)、社会的経済的地位の大きさ(大企業、公益法人
等に対する社会的関心の高さ)に従って、報道などの表現行為が「公共の利害
に関する事実に係る」ものとして違法性阻却される傾向がある。私人であって
も選挙で選出される公人など一定の社会的地位にある者に対しては、名誉侵害
の成立が一般の私人よりも限定的である。法人や団体もその名前で独自の社会
的信用の保護が問題となるようなものは、相応の社会的関心の下にあり、社会
的評価や批判につねにさらされるべき立場にあると言えるから、法人や団体の
名誉保護の範囲は一般私人よりはより限定されたものになるというべきなので
ある27)

民法における法人の権利 - 立命館大学 より引用

この免責の要件に照らして、メールの公開が正当なものであれば、著作部物の公開権侵害、プライバシー侵害、名誉棄損に付いても違法性は問われないことになります。

「真実で」

バルブコアの腐食については、スライム(パンク防止・修理剤)又は同等品が注入されたチューブにおいて、長期(年単位)にわたりスライム(パンク防止・修理剤)又は同等品と接しているバルブコア以外では発生していません。

「公共性が有り」

最大手の自転車販売店であり、オンラインショップでも有用性をうたってスライム(パンク防止・修理剤)を販売を継続している。

「公益目的で」

商品のデメリットについても正しく伝えることで、本来利用可能なチューブが廃棄されたり、それに伴うユーザーの費用負担を無くすことが出来る。

「手段が相当である」

再三にわたって、公開の許可を要望したが、根拠の明示なく、拒否されている。
個人が不当性を訴えるには、ブログ等SNSに頼るしかない現状である。

結論

裁判になったとしても、自分なりに免責の主張が出来ます、受けて立つ覚悟も出来ましたので、頂いたメールを公開することにしました。